「結局、俺はただ働きなんだな」
「強欲ですね、お幾ら必要なんですか」
「マイナス背負った奴にタカってもな」
「御安心を。あれぐらい私のポケットマネーですし、秋山君に借りも返せました…いえ、貸しが出来たわけです」
「林檎揃って喜んでた癖に。秋山どうこうは置いといて、秋山とナオちゃんのためなら守銭奴でビジネス狂いのアンタが54億もポンと流せるんだもんな」
「…今日はやけに絡みますね」
「別に」
「拗ねてらっしゃるんですね…秋山くんとの取引」
「拗ねてない」
「バイト代弾みますから機嫌直して下さい」
「じゃあ額無しの小切手一枚くれ」
「そうですか、なら私を差し上げましょう」
「人の話聞けよ」
「あいにく今は一文無しですし、差し上げられる物と言ったら後は体しか…」
「…ま、いいけど」
「ん、腕の力が強いです。少し緩めなさい」
「……好きすぎてむり」
「ふふふ、当たり前です」
「お前いいとこ取り過ぎ、何だあの格好良さ」
「そうやってどんどん私に惚れなさい、私が貴方を想うより想ってくれなくてはイヤですよ」
「…秋山助けてくれてありがとな」
「それこそ『別に』、です」
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映画に行きました。
ヨコヤに惚れ直しました。