子供は残酷だなぁ、と。
奇妙なざわめきに浮わつく教室の空気を肌で感じつつ、眠たげな目をした少女は泣き出した同級生を眺めた。
ひくひくとしゃくりあげ涙を流す同級生を囲み、慰める幾人かのお友達は、きちんと隣へ視線を向けた方がいい。
眉間にシワを寄せ鋭い切れ長の目を見開き唇をぎゅっと引き結ぶ男子生徒の目に、うっすらと涙の幕が張っていることを。
「ねえ、良かったら変わってくれないかな。わたし、目が悪いから」
黒板見えないんだ、と。
未だ肩を震わせたままの同級生の手から、流れるような手付きで番号のかかれた紙片を拐い、眠たげな目をした少女は薄い唇の端を弓なりにした。
【非常に残念なことですが】
(本日日常は終わります)
どうしようもない空気が満ちる夏休み明けの教室、間抜けな表情の新しい隣人の背をばちりと叩き、眠たげな少女はよろしくと笑った。
真田
と
転生少女
真田(一年)
・夏休み中、一気に来た成長期。三年時の原型が完成した。
・怖いから隣が嫌だと女子に泣かれた。
・以降ずっと転生少女の隣に。
・付き合うをすっ飛ばして、なんか熟年夫婦の貫禄
転生少女
・例によって例のごとくいつの間にか転生。瞬きしたら赤ん坊だった。めんどい。
・それなりに流されて中学校入学。スカートは折らないし髪は染めないし品行方正。中学生からオシャレとかめんどい。
・成績は国語のみ学年一位、次いで英語と歴史が得意、理数系は七割とれれば御の字で、全体的に50位くらいで、良くも悪くも文系の鑑。
・めんどくさがりだが面倒見はよく、押しに弱い、後輩に弱い、幸村に弱い。
・三強に頼まれ赤也に英語を教える。
時間に換算して丸三日、根気よく粘り強く諦めず怒らず怒鳴らず殴らず飴と鞭を効率よく使い分け赤点から平均以上に引き上げた功労者。
以降赤也になつかれ、テスト前は泣き付かれる。
・文芸部部長。