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三橋:実際、重い病気に苦しんでいる患者団体などからも、『混合診療を解禁してほしい』という要望はまったく出てきていませんね。医療費負担の厳しい現実を知っている人たちだけに、それは至って当然のことでしょう。
関岡:多くの患者団体が求めているのは、混合診療ではなく、『ドラッグラグ』の解消、つまり欧米などの臨床試験で効果があることが証明されている未承認薬を早く承認して保険を適用して欲しいということに尽きるのです。しかし、『財政負担の増大につながる』という理由で、国は保険の給付対象の拡大に応じようとしません。
三橋:なぜ、保険適用を拡大するという普通の発送が出来ないのでしょうか。ここで財政問題を持ち出すのは、実に不可解な話です。混合診療が象徴するように、TPPの医療関連分野全般に目を通していると、まるで子どものケンカに出てくるような幼稚なロジックに基づいていることに呆然とします。例えば、推進派は『混合診療を解禁せよ!』と声高に訴えますが,そんなことをせずに、単純に現行の自由診療を保険適用にすればいいだけの話に過ぎません。
と、当たり前の主張をすると、混合診療拡大の推進派は眉をひそめながら必ずこう言い出すのです。
『いやいや、それでは財政赤字が膨らんでしまうから』
結局、すべての話を財政の話に帰着させて、念仏のようにこう唱えます。
『財政赤字はよろしくない。何としても財政黒字にしなければいけない』
混合診療に関しては、自由診療を保険適用にするほうが手っ取り早く、医療の現場で混乱も生じない。その点については推進派の連中も理解できるものの、『けれど、ない袖は振れないので、財政出動は無理。だから自由化にするしかない』という理屈になってしまうわけです。
混合診療のみならず、社会保障の削減や公共事業の削減などでも、すべて『ウソの財政問題』に基づく幼稚な論理を規制緩和派(構造改革論者)は繰り返しているだけにすぎません。実際には、我が国には財政問題などないにも関わらず、『ウソの問題』を理由に医療制度が歪められようとしている。ゆゆしき問題です。
関岡:自由診療の中には、自然療法とか免疫細胞療法とか、さらにはサプリメントのように薬事法に準拠した治験データが未整備なため、保険の対象になりえないものも少なくありませんが、未承認薬というのは『海外で承認済みだが日本ではまだ承認されていない』というだけで、有効性と安全性が確認されているわけですから、三橋さんがおっしゃる通り、本来、保険適用されてしかるべきものなのです。確かに非常に高額な新薬は増えてはいますが、それを財政の論理で阻むというのは人倫に悖る所業です。


続きはまた今度
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