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私自身も家族のがん治療のため、いくつか自由診療のクリニックを利用したことがあります。これは患者仲間でもなかなかおおっぴらには言いづらい話題です。自由診療に通う患者は『振り込め詐欺に引っ掛かった愚かな老人』みたいに白い目で見られることもあるからです。患者団体によっては自由診療の話題を禁止しているところさえあります。まあ、反面教材として受けとめて頂ければけっこうです。
『自然療法』を掲げる都内の某有名クリニックでは、70分面談しただけで、なんの薬も療法も処方されなかったのに、『診察料』として3万円を支払わされました。このクリニックは院長がマスコミに露出しているためか、予約が3ヵ月先まで満杯だと自慢していました。
首都圏のがん専門の某クリニックでは、海外の未承認薬を併用した化学療法を月100万円で6クール、計600万円提示されましたが、貧乏作家の収入では断念せざるをえませんでした。これは今でも悔いが残ります。しかし、あるところにはあるもので、このクリニックには全国から進行がんの患者さんたちが通っていました。
いまはやりの免疫細胞療法は試してみました。治るという保証はありませんでしたが、既に抗がん剤がきかなくなっていたので他に治療法もなく、本当にワラにもすがる思いでした。月1回の注射が30万円で、これを5回やって150万円かかりましたが、残念ながら家族を救うことはできませんでした。
保険がきく標準治療だけでがんが根治した患者さんたちを含め、一般の国民はこうした自由診療の世界をほとんどご存知ないと思います。私自身も、家族のがんが全身に移転し『がん難民』となるまでは知りませんでした。
自由診療はいまや『がんビジネス』といっても過言ではないでしょう。『SMAP』というのはご存知でしょうか?サメの軟骨、メシマコブ、アガリスク、プロポリスという『がんにきく』と称する四大サプリメントのことで、さすがにこれらには手を出しませんでしたが…
混合診療が全面解禁されると、このような自由診療が全国に普及するようになるでしょう。それを米国の保険業界は、自由診療を対象とした民間医療保険のビジネスチャンスをとらえ、混合診療の解禁を要求してきたわけです。その結果、小泉政権時代に部分解禁されましたが、TPP交渉や日米平行協議で全面解禁を求められる可能性を排除できないことは外務省も認めています。/関岡英之


続きは近日中にφ(..)