「Is she your mother?」。FAXから始まる帰郷。新たな殺人が古い殺人を紐解いていく――。

充実の2時間。さすがキング!
のし棒の柄が取れるシーンなんて、もうすごくキングっぽくてぞくぞくきた。ああほんっとに好きだわ。いいなぁー、ため息出ちゃう。

ライリー氏は小さな島の保安官・フランク役で出演。ドロレスをなんとしても逮捕したい本土のマッケイ警部と、昔馴染みのドロレスの間で頭を悩ませる優しさ満タン男♪衝突が始まると黙っちゃうところがかわいかったよー(*^ ^*)

映画の内容もすごく良かった。これはもう、キング原作なので言わずもがなだけど。
ただごとじゃない実力。視野の広さ。キャラクターの作りこみの奥深さ。もう何もかもが最高なの!
原作がいくら良くっても、人が多く関わる「映画」となると雑念が入って作品が損なわれるのもよくあること。でも、キング作品に関してはそれが少ない気がする。もしかしたら、損なわれていても尚素晴らしい=それだけ原作がいいってことかもしれないけど、私はスタッフもそれだけ努力してるんだと思ってる!愛してる!もう私あなたに、とろけちゃう!
…って感じ!!!

「女にはね、鬼にならなきゃ生きていけないときもあるの。……場合によっては、鬼になることで初めて生きられるってこともあるわ」

…………。もうすっかり無言。観客側が「黙秘」。
でもねそれは、呆れてものも言えないってことじゃなくて、果たしてそうかって思うからなの。だって見てよ、この人たち!これこそまごうことなき「死人の生」だ!
鬼になることで、本当に生きられたのか?生きていけたのか?
“事故”は本当に、不幸な女の味方だったのか?

他に道は、なかったのかな。本当にこれ以上の最善の策は、どこにもなくて、彼に対しては、これ以上の最善の策を探す価値はどこにもなかったのかな。
鬼にならなきゃ生きていけないこともある。それはわかる。世の中は私が思うより、ずっとずっと生きにくいものだってことも、世の中にはそれほど善人はいないってことも。
でもやっぱり、最後の最後まで諦めたくない。ううん、最後の最後にも。
死んだって構わない。何を持って「自分の太陽が沈む」とするか。死ぬことより、私は死人の生の方が、ずっとずっと怖い。

ドロレスは確かに不幸な女性だったけど、私にはなぜ彼女が不幸な女性なのか、わかる気がする。彼女は夫を見下していたし、ばかにしていた。娘の秘密を悟ったときには、無理やりこじ開けて、踏み荒らそうとした。

「何があったの!?話しなさい!!」

冷静さを欠く気持ちはわかる。でももし少しでも、娘の気持ちを思いやる努力をしてくれていたら、それが自然にできる人だったら、きっと日食は起きなかった。
良きにも悪しきにも報いがある。人生で何が起こっても、それはきっと、何かの報いだ。