昭和39年の東京五輪のときには、新自由主義はありませんでした。あのときはまだ資本移動の規制もあったので、世界銀行から借款しているんですね。東名高速や東海道新幹線のようなビッグプロジェクトは、慎重に計画されて世界銀行から融資を受けた。
しかし、今は新自由主義の時代なので、儲かると思ったところに資金が一挙に集まる。しかも当時と違い、オリンピックは国づくりの一環というより一時のお祭りになってますから、祭りが終わればそれで終わり。事実、北京オリンピックの『鳥の巣』スタジアムは今や廃墟になっているそうですからね。
今回の東京五輪では、政府も新自由主義の財政健全化という動機が強いので、インフラ整備のために率先してお金を出すということはないでしょう。仮に出すとしたらどこかを削って出すことになります。そうすると地方のインフラ整備があと回しになる。建設業は人手不足。東京に人手を取られたら、復興はどうするのでしょうか?五輪もやるし、復興もやるしというのならば、新自由主義の財政健全化はあきらめてもらわなければならない。財政健全化で消費増税と言っている安倍政権が『五輪は?』と聞かれれば『やります』 『復興は?』と聞かれれば『やります』 『財政健全化は?』と聞かれれば 『やります』という。
断言するのはいいが、財政再建、五輪、復興という三つは鼎立できないのではないか。/柴山桂太