三橋:まず電力のシステムからご説明しましょう。電気というのは貯めておくのが極めて難しいもので、皆さんが今使っている電気はまさにこの瞬間に発電されたものです。蓄電技術というのはあるにはあるのですけれど、それには大変なインフラが必要になり、しかも蓄電された電池は日々、劣化してしまう。10年ぐらいで使えなくなってしまうものです。したがって電気を貯めておいて使うというのは、現状ではまず無理。そのため、東日本大震災のときに日本国民は計画停電という痛い目を見たわけです。電気が使えないと、どうなるか。信号機まで止まってしまってなにもできなくなる。しかし喉元過ぎればなんとやらで、あれだけ思い知ったはずなのに、電気について非常にナメた考え方をする人たちがいます。『脱原発』とか『反原発』とかを唱える人たちのことですね。たとえば高名な音楽家の坂本龍一氏は、反原発のデモなどで演説をしています。私はそれを見ていたけれど、あのとき彼はマイクを使い、かつスマートフォンを見ながら演説していたのです。思わず、『それ全部電気だろう』とツッコミを入れたくなりました。いずれにせよ、電気を軽く見る日
本人が多すぎます。
『脱原発』『反原発』の背景には、2つの問題があります。1つは、左翼の人たちの問題。公共事業が嫌いな左翼は原発も大嫌いなわけです。しかし、より本質的な問題は日本が脱原発する。あるいは原発を稼働停止にすることによって儲けている連中が山ほどいるということです。わが国は原発を停めて以来、ガス代・原油代・プラスアルファで3.6兆円のお金を追加的に海外に支払っています。わが国は、原発を停めたがゆえに、巨額の所得を失っているわけです。それらはすべて海外の所得になっている。しかも天然ガスの売り手は、裏で手を握っています。マレーシアとかオーストラリアとかロシアとか国名をはっきり挙げましょう。だから、日本に対して天然ガスを安く売る売り手はいない。むしろ日本は足元を見られて、高く買わされている。日本に対する天然ガスのスポット価格は、30パーセント以上も上がってしまっています。
そういう状況の中、わが国では貿易赤字が拡大していて、ご承知の通り電気料金も上がってきています。私たちの所得がどんどん奪われているにもかかわらず、それでも『脱原発』『反原発』などと能天気なことを言う人たちがいるから困る。『蓄電でなんとかなる』『自然エネルギーでなんとかなる』とか唱えながら、歌を歌ったりしている。なんとかなんて、ならないから(笑)電力会社は仕方なく、建設してから40年以上経った古い火力発電所が原油を大量に浪費しながら動かしているわけです。もう、めちゃくちゃ非効率的。私などは一度、大停電を起こしてみればいいと思うのです。そうすれば皆、思い知るはずです。脱原発派はみんな『電力会社、なにをやってるんだ!』と騒ぐに違いない(笑) それはあなたたちが原発に反対するからだろうと笑ってやります。本当に皆、甘えているのです。


続きはまた今度(/_;)/~~