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1980年代以降、政府が市場の動きに一定の規制や介入を行うのではなく、民間の自由な動きに任せるという新自由主義が、英米を皮切りに世界に広まりました。
この考え方に従えば、政府は規制などで民間の経済活動に枠をはめるべきでなく、できる限り事前の介入は行わない。財政規律を守るために政府支出は抑えるべきで、何か起こったときに、市場秩序が破壊されないよう、最低限の介入を行うべきだ。となります。つまり、政府は事前に経済を管理するのではなく、あくまで何かが起きた場合に、事後的にその調整を行う、という考え方に変わったのです。危機が起きた場合には、政府や中央銀行が迅速に事後処理を行って景気の底割れを防ぐ。そうして一時の危機をしのげば、経済はふたたび正常化していくだろう、というわけです。
しかし、通常の景気循環の後退局面であればこれでいいのかもしれませんが、今回のような巨大なバブル崩壊後の経済では、必ずしもうまくいっていないように見えます。リーマンショック後のアメリカが行った財政出動、金融緩和は、経済が巨大な崩壊に向かうのを防いだといういみで効果があったのですが、経済が正常化するというにはほど遠い状況でした。債務デフレは簡単には収まりませんし、欧州危機という次の爆弾もあります。バブルに踊った民間経済のつけを政府が支払うには、そのコストはあまりにも大きすぎたのです。

    柴山桂太