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内閣府モデルとは2002年、小泉内閣の竹中平蔵大臣の時につくられたものです。
それまで日本政府は、マクロ経済についてのシミュレーションモデルを使っていた、非常に信頼性の高いモデルです。
国土計画をつくったり財政政策や税制を決めたりと、国の重要な経済政策を行う時に、これが活用されていたのです。
ところが、行政改革で経済企画庁が廃止されて内閣府になった。その省庁再編のどさくさに紛れてモデルを変えたのです。IMFが使っている理論的なモデルをベースに、新たなモデルをつくったのです。そもそもIMFは、貧しい農業国を中心とする、インフレに悩みがちの途上国を対象に融資を行い、借金の返済を迫る組織です。ですから、IMFはおのずと財政出動をさせたくない、増税をさせたいと考えるわけです。そのIMFがつくるのは当然、緊縮財政のためのモデルです。日本はそのようなモデルに変えてしまったんですね。
さて、公共事業に支出すると、普通はどんなモデルで計算しても乗数効果が出ます。例えば、1兆円を4〜5年にわたって出し続けると、名目で言えばGDPが毎年3兆円から5兆円ほど増える計算になる。ところが、内閣府モデルで計算すると、1兆円をいくら出し続けてもGDPはほとんど伸びない、という結果になる。つまり、公共事業はやってもムダだという結論が出るようになっている。
増税に関しても変な計算結果になる。これまたどんなモデルで計算しても、5%の消費税増税をして5〜6年が経てば、GDPの毀損はないという結果になる。
ですから、このモデルを使って経済・財政政策を行っている限り、『公共事業を減らして増税をしましょう』ということになってしまう。現に政府は、緊縮財政路線を突き進み、公共事業関係費を過去15年間で半分以下に削った。そして今、増税を果たそうとしているのです。そもそも彼らが根拠としたIMFはロシア危機でも、東南アジアの通貨危機でも、あるいは韓国でも、構造改革を迫り、緊縮モデルのショック・ドクトリンを行いました。ノーベル賞をとったスティグリッツもIMFのやり方を批判しています。アメリカに都合のいいワシントン・コンセンサスだと。/藤井聡


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