スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

1≠ホワイト

僕は世界に飽きていた。

朝、起きる。
学校へ行く。
いつものように友達とじゃれて、
家に帰れば勉強、熟。

毎日毎日、なんにもかわらない。
もし僕にも好きなコでもいたら、
このつまらない生活のさし色になるんだろうか?
いや、それもどうせ褪せるんだろうな。
いつもの生活に、どうせ溶ける。

今、このいつもの生活を色に例えるなら白だ。
なんにも描かれてない、キャンバスみたいな。

『平和だな…』

そう呟いては。
つまらない、と頭で唱えていた。
平和なら平和でいいんだけど
たまにはもっと、眩しい程の刺激がほしくなる。

眩しくもなければ、暗くもないこの空間に。

2≠突然のイエロー

ある日僕は、近くの海にきていた。

学校帰りで今日は塾もないし、気分転換にでも、と思ったのだ。
あたりはまばゆいオレンジ色。
夕焼けに染まったこの景色を見ると、僕は何故か満たされた気分になった。
何をしたわけでもない、何かを得たわけでもない、眺めているだけで、すべてをリセット出来るような気さえして。

そんなときだった。
何か光るものが視界に入った。

『鍵…?』

近寄ってみてみると、それは玩具のような小さな鍵と小さく折られた紙の入った小ビン。
パッと見た感じ、鍵はペンダントみたくチェーンがついているもので少し錆びており、古いもののようだ。

もう日が沈む時間。
家に帰れば勉強かテレビかケータイか。

(どうせ暇だし持って帰って中の紙も読んでみるか)

どこかの童話に出てきそうな展開に少し好奇心が湧いてきたのだ。
異世界への鍵だったりして…なんて冗談を考えてみたりして。
変わったものを拾って少し上機嫌な僕はその日、いつもより少しゆっくり家路を歩いた。

きっとこの日の僕の表情は、いつもより生き生きして明るかっただろうな。

3≠パープルな人


家に帰った僕は、
『ただいま!』
と一言家族に声を掛けると、自分の部屋へすぐ駆け上がった。
なぜかドキドキして、宝物を見つけた小さな子供のよう。
椅子にサッと座るとすぐに瓶の蓋を開けて紙を引っ張り出す。

紙をひろげると、



『ずっと返せなくてごめんね。』



その一言だけだった。

((期待外れかな…))
拾った僕も僕だけど。
鍵は鍵をかけたものがあってこそ意味をなすのだ。
((場所とか書いてあるって思っちゃったじゃん…!))
なんだか一気に気が抜けた気がした。
勝手に期待して、外れたからと苛々している僕。
(僕は、人として凄く嫌な奴かもしれないな…)なんて思ったりして。

少し変わった"その"一日は、いつもと変わらない終わり方をした。
前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2024年05月 >>
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
アーカイブ
カテゴリー