「……知らない人について行っちゃ駄目って白堊ちゃんがゆってた」
「う……。……おは……よう……」
「……。ん……」
「……。おやすみなさい……」
「なんで見えないの? なんで聞こえないの? こんなにはっきりわかること、なんでみんなわかんないの?」
「うぇ……。ちゃんと、スジミチ? 立ててせつめいしないと、他の人にはわかんないみたい。でもせつめいしかた、わかんないのが、わたしなの」
「うぇ……やだよぅ……。ひっく……こわいよぉ……」
「そっか……。みんな燃やしちゃえばいいんだ……。なーんだ。こんなのすっごいかんたんだもん」
「うぇ……? よくわかんない……」
「好きなこと……? んとね、おえかき。自信作」
「えへへ……」
「見て見てあのお洋服ほしいだってかわいいもんほしいほしい」
「神様なんかいないよぉ? だっていたらおかしいもん。ぜったい変だもん」
「あのね、白堊ちゃん、あのねあのね、ご本、読んで」
「もしね、おとぎ話の魔女がわたしだったら、白堊ちゃんとわたしをいじめるやつらをみんなやっつけてやるの」
「うぇ……。だって白堊ちゃんの作るケーキすっごく甘いもん。もっと甘くないのがいいー」
「白堊ちゃんはうそつきなの。本当は嫌いなの。わたしのこと嫌いなの……。わかるもん」
「白堊ちゃんを、いじめないで!!」
「こわいはなし……? んとね、レファルが着色料いっぱい買ってたのすっごいこわいの」
「うぇ……レファルってよわっちい……。しかも大人げない……」
「ベアトリクスゆってた。おそうじには魂こめなさいってゆってた」
「パルテノンはねぇ、こう、ふわっとしてびゅーんてして、ずどーんなの。怪物からみんなを守ってくれてたの。すごい強い子なの」
「リャオきらい。だっていじわるだもん。……『やりすぎるだけ』? ……そんなのぜったいうそだもん。わかるもん」
「うぇ……また、サーディトは人の良さを利用されたの? 破滅の入口ってね、レファルのイタズラの片棒をかつぐことなんだよ? ぜったいそう」
「……また変な子来た……」
「魔女が、わたし……?」
「ちがう、ちがうの!! 白堊ちゃんを追いつめたのが、わたし!! ずっと守ってくれた白堊ちゃんを頼りきって、甘えて、白堊ちゃんをあんな風にしたのが、わたし!!
……思い出したの。わかったの。白堊ちゃんからおとうさんとおかあさんを奪って殺した悪い魔女は、わたしなの!!
ごめんなさい……、白堊ちゃん……、ごめんなさい……」
年齢のわりに幼い喋り方。たどたどしくてぎこちない。しかもボキャブラリーが貧困なため、暗号じみた発言になることもしばしば。
かなり舌っ足らずなので、「言う」は「ゆう」に聞こえる。「○○とわたし」「○○なのが、わたし」というように、「わたし」を最後の方に持ってくることが多い。
誰に対してもタメ口。そして愛称では呼ばない。
遠慮を知らず、思ったことはそのまま口にする。ボソッと鋭い発言をすることも。
***
「わたしはどうしようもない臆病者だけど、臆病者なりに意地だってあるの」
「レファルはわたしの兄です。血縁関係はありませんが」
「飛べるよ。わたしは魔女だもん」
「わたしと……お、お友達に、なってください……!」
成長すると、それなりに敬語や語彙を身に付ける。